立食たちぐい)” の例文
健三は昔しこの人に連れられて寄席よせなどに行った帰りに、能く二人して屋台店やたいみせ暖簾のれんくぐって、すし天麩羅てんぷら立食たちぐいをした当時を思い出した。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
といったが、その年よりも、小僧も、景気のいい立食たちぐいには並ばない。あたしは、すこし大きくなってから、またいた。
よろしいと我輩はしるこを附き合ったよ。少時しばらくすると、大将、今度は辛いものが欲しいなと謎をかけた。我輩も悟りが早い。川口君の為めにすし立食たちぐい発起ほっきしてやった。いかね。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
海賊ヴァイキング時代にぶんどり品を立食たちぐいして大いに盗気を鼓舞した頃からの伝統に相違ない。
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
天麩羅てんぷら立食たちぐいなんか、ごめんだぜ。」
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お夜食におくれて、遅く帰って来た人のお菜に、天ぷらをとりにいった女中が、岡持のふたをあけながら、近所の金持ちの主人が、立食たちぐいをしていたということを