窶々やつやつ)” の例文
つぶやきつつ、提灯差附け凝視みつむれば、身装みなりこそ窶々やつやつしけれ、頸筋えりすじの真白きに、後毛おくれげにおいこぼるる風情、これはと吉造首をひねって、「しっかりせい。」襟よりずっと手を差入れ
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
連の一人は曾根の身内にあたる婦人で、つやの無い束髪や窶々やつやつしいほど質素な服装などが早く夫に別れたらしい不幸な生涯を語っていた。今一人は肥え太った、口数のすくない女学生であった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
杜若の花を小褄こづまに、欠盥かけだらいで洗濯をしている、束ね髪で、窶々やつやつしいが
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
八田巡査はきっと見るに、こはいと窶々やつやつしき婦人おんななりき。
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)