空鑵あきかん)” の例文
「……それから、二股ふたまた道のかどの木の枝に、石を入れた空鑵あきかんをつるして、風が吹くとカラカラ鳴るようにして置いてくだすった」
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
手には空鑵あきかんをさげて、黒い土をほじくっていた。みみずは百もんめ掘れば、いくらになるとか、またどこかで聞いて来たのだろう。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
夫婦してむしろを畑にひろげ、枝豆やいちごや果樹に群がるカナブンを其上にふるい落して、石油の空鑵あきかんにぶちあけ、五時から八時過ぎまでかゝって、カナブンの約五升をとりこにし、熱湯をあびせて殺した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)