空俵あきたわら)” の例文
片腕の熊さんは、片腕でびっこであった。何時いつも夜になると私のうちの土間に、空俵あきたわらを敷いてそこで「八」という私の犬と一緒に寝ていた。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
彼がじいっと耳を澄ますと、納屋なやむしろ空俵あきたわらを置き換えている気配がした。まもなく、お里が喉頭のどもとに溜った痰を切るために「ウン」と云って、それから、小便をしているのが聞えて来た。
窃む女 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)