穉児おさなご)” の例文
旧字:穉兒
少女はふいと前の月夜の事を思い出し、その顔へ自分の袖をかけてやりながら、いま一人の穉児おさなごをひしと抱き締めて、其処にいつまでも顔を伏せていた。
姨捨 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
あてなしに大きく言った、が、いやな事はちっともない。どうして発見みいだしたかを怪しまれて、湾の口を横ぎって、穉児おさなごに船をがせつつ、自分が語ったは、まずそのとおり
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
奥の方なる林の中より若き女の穉児おさなごいたるが笹原の上を歩みて此方へ来るなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)