稜威みいつ)” の例文
十二インチ一枚(『タンホイザー』の「夕星の歌」とほか一面)と十インチ一枚(ベートーヴェンの『自然の上に神の稜威みいつ』とヘンデルの『ラルゴー』)
此を平く言ふと、稜威みいつである。神聖な修飾語のやうに考へてゐるが、実は天皇霊で、大嘗祭に、聖躬に著くのである。
古代人の思考の基礎 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
帝の稜威みいつは至らぬ處なし、されど政かしこよりいでその都も高き御座みくらひもまたかしこにあり、あゝ選ばれてそこに入るものはさいはひなるかな 一二七—一二九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
今ある日本語の何という言葉に、対応させてよいかはまだ突きめられぬが、皇室を中心にして考えると、稜威みいつという古語が大分近いように感じられる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
うぬが勝手に尊皇愛国を狭く解釈して濫りに不敬呼ばはりするは恐れ多くも皇室の稜威みいつを減ずるはゞかりある次第だ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
二十何年か前の祖国と日本との戦争なども無論知っていそうにもなければ、ロマノフ家の稜威みいつを一朝にして衰えさした、かの大敗北の噂話でもあるいは聞いたこともなかったであろう。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
真面目なものでは合唱付きで歌っているベートーヴェンの『神の稜威みいつ』(J二七八〇)が良い。いかにも派手で立派だ。
コロムビアには二枚入っているが、私はシューマンの『二人の擲弾兵てきだんへい』と、ベートーヴェンの『神の稜威みいつ』(J五三六二)の腹合せが良いと思う。
「神の稜威みいつ」はヒュッシュやタウバーの独唱、ベルリン独唱者連盟の合唱などがあるが、私は旧盤のシュワルツをいつでも思い出す。「暗き墓場」はシャリアピンとシュルスヌスといずれも巧者だ。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)