稀々たまたま)” の例文
稀々たまたまのお召しというやつがないと、ここにいても、随分わるくはないが、あれが、苦手にがてじゃて」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御前のやうな妻を持つたのはと言ひ捨てに出て御出で遊しました、何といふ事で御座りませう一年三百六十五日物いふ事も無く、稀々たまたま言はれるはこの様な情ない詞をかけられて
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
努めていろいろの話をされるにもかかわらず、夫人に対しては、必要な言葉以外には殆ど話しかけられず、稀々たまたま話しかけられる言葉も、いつでもせいぜい四五文字にしかならない短いものだった。
血液型殺人事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)