禁断きんだん)” の例文
旧字:禁斷
稽古日とみえて、奥からはばちのたかい三味線がもれてくる。禁断きんだんしきいをまたぐような好奇心が、彼の勇気をいた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禁断きんだんそのに忍び入ったる罪は、今、さばかれようとしているのだ。僕はもう観念した。たとえ針の山であろうと無間地獄むげんじごくであろうと、追いやられるところへ素直すなおに行くしかないのだ。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ですからなるべく十三日から十五日の間に取って居るです。取るのは鉄砲で殺すのですが、しかしチベットには殺生せっしょう禁断きんだんの場所が沢山あってその場所には殊にまた沢山麝鹿じゃろくが居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「こらえろ! こらえてくれ、忍剣! この山のおきてを知らぬか、兵法大講会へいほうだいこうえ三日のあいだは、たとえどんなことがあってもを見るなかれという、きびしい山の禁断きんだんを知らぬかッ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禁断きんだんの女
脳の中の麗人 (新字新仮名) / 海野十三(著)