礬水どうさ)” の例文
かくの如き手摺てずりの法は進んで享保に至り漆絵うるしえと呼びて黒色の上に強き礬水どうさを引きて光沢を出し更に金泥きんでいを塗りて華美を添ふるに至りしが、やがて寛保二
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それはどうもらちが明かないから、その紙に礬水どうさをして、れから筆は鵞筆がぺんで以て写すのがず一般の風であった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私は十六七の頃にはもう濃く礬水どうさをひいた薄美濃紙をてがって絵巻物の断片をき写しすることも出来たし、残存のかぶとしころを、比較を間違えず写生することも出来た。
東海道五十三次 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
礬水どうさびきの美濃紙へ辞書をすっかり写したものさ、と云っていたが、それもこの時代の夫婦の一日の光景であったであろう。何かの儀式のとき、どうしても洋服にズボンがいるということになった。
繻珍のズボン (新字新仮名) / 宮本百合子(著)