破襖やれぶすま)” の例文
左に六じょうばかりの休息所がある。向うが破襖やれぶすまで、その中が、何畳か、仁右衛門堂守のる処。勝手口は裏にあって、台所もついて、井戸いどもある。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
格子戸見通しの四畳を隔てた破襖やれぶすまの角柱で相合うその片隅に身を置いたし、糸七は窓下の机の、此方こなたへ、炉を前にすると同時に、いきなりこうべを下げて、せき込んで言ったのである。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
上下うえした一度にがッくりと歯が抜けた気と一所に、内がポカンと穴のように見えて、戸障子も、どんでん返し——ばたばたと、何ですかね、台所の板の間を隔ての、一枚破襖やれぶすまいた、芭蕉の葉の上に