短躯たんく)” の例文
長剣短躯たんくの青年を一枚加え得たというだけのもので、いつしかこの漢子かんしは、「先生」と白雲を呼びかけるほどに熟してしまっている。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いう、彼れ短躯たんく癯骨くこつ、枯皮瘠肉、衣にえざるが如く、かつて宮部鼎蔵と相伴い、東北行を為すや、しばしば茶店の老婆のために、誤って賈客視せらる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
五代目菊五郎と並んだ写真では菊五郎の方がわずかに背が高い。その短躯たんくが舞台をはみ出す程大きいのである。彼は肥っても居ずせても居なかった。彼の大きさは素質から来ている。
九代目団十郎の首 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
我が稲門健児とうもんけんじは不幸にも、北側の第一レインを割り当てられ、逆風と逆浪げきろうの最もはげしい難路を辿たどらねばならず、つ、長身にして、短躯たんくのクルウを連ね、天候さえ冷え勝ちで、天の利、地の利
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
短躯たんくにひそむ精力せいりよく
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今度は縁の下へもぐってみようと思いました。短躯たんくにして俊敏な米友は、縁の下を潜るのにことに適当しております。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)