皇女ひめみこ)” の例文
この製作は、『古流記』に従えば、孝徳帝の皇后間人はしひと皇女ひめみこが帝の追善ついぜんのために企てられたものである。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
この二皇子のまん中に生まれられたあのお気の毒な間人はしひと皇女ひめみこも、兄宮によく似たやさがたの、聡明さが顔のおもてにはつきりと浮彫りになつてゐるやうなお方だつた。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
遠智おちの岡ノ上に新たにおこされたミササギに、宝ノ太后おおきさきと、間人はしひと先后さきのきさきと大田ノ皇女ひめみこと、——この親子三代のなきがらを合はせ葬つた日は、夜来の雪が日ねもす野山をこめて降りしきり
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
二十四の若い身ぞらで、年端もゆかぬ皇子みこ皇女ひめみこを残して世を去るのは、なんとしても辛かつたらうと思ふ。あれは妹媛いろとの菟野とはちがつて、どこか淋しいところのある気の弱い女だつた。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)