白鷹はくたか)” の例文
我々の考へでは菊か桜か白鷹はくたかのそれも純粋な生一本だらうといふのであつたが、訊いてみるとこれが地酒の朝日山であつた。
新潟の酒 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
じつ以前いぜんに、小山内をさないさんが一寸ちよつと歸京ききやうで、同行いつしよだつた御容色ごきりやうよしの同夫人どうふじん、とめさんがお心入こゝろいれの、大阪遠來おほさかゑんらい銘酒めいしゆ白鷹はくたかしか黒松くろまつを、四合罎しがふびん取分とりわけて
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
北ではあすこの酒場のおやじが、松竹梅、白鷹はくたか、菊正宗、都菊とそろえているのを、私が行けばむろん「菊」。徳利を持ち上げて、如何にももっともらしく底にさわって見る。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
猶それから白鷹はくたか、正宗、月桂冠壜詰の各問屋主人を訪ひ業界の霜枯時に對する感想談話を筆記して來るやうにとのことをも吩咐いひつけて置いてそしてあたふたと夫婦連で出て行つた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)