白木蓮しろもくれん)” の例文
一軒のお長屋の土塀を越して、白木蓮しろもくれんの花が空に向かって、かんばしいにおいを吐いている。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
庭には白木蓮しろもくれんが一杯に咲いてゐた。空からの白さで明るくけてゐるやうに思へた。
花が咲く (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
大木の白木蓮しろもくれん玉椿たまつばきまき海棠かいだう、黒竹、枝垂しだれ桜、大きな花柘榴はなざくろ、梅、夾竹桃けふちくたう、いろいろな種類の蘭の鉢。さうしてそれ等の不幸な木はかくも忙しくその居所を変へなければならなかつた。
白木蓮しろもくれんの花の木のを飛ぶ雀遠くは行かね声のさびしさ (二八六頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)