白斑しろぶち)” の例文
はいりの時に生徒でいっぱいになる下駄箱のあたりも今はしんとして、広場には白斑しろぶちの犬がのそのそと餌をあさっていた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
三毛みけ」に交際を求めて来る男猫おとこねこが数匹ある中に、額に白斑しろぶちのある黒猫で、からだの小さいくせに恐ろしく慓悍ひょうかんなのがいる。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
前生ぜんしょうあだが犬になって、あとをつけて追って来た、つらの長い白斑しろぶちで、やにわに胴を地にって、尻尾を巻いてえかかる。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それがこちらを睨んだように思われたので周章あわてゝ戻ろうとして足元の芥箱ごみばこつまずくと、それに驚いて屋根へ駈登った白斑しろぶちの猫に、かえって貞之進の方が驚かされた。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
光りの消えた砂浜を小急ぎに、父を真中にやって来ると、白斑しろぶちの犬が一匹船の横から出て来た。
海浜一日 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
近づくと白斑しろぶちの犬である。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)