痛振いたぶ)” の例文
けれどもすさまじさが先刻さっきよりは一層はなはだしく庭木を痛振いたぶっているのは事実であった。自分は雨よりも空よりも、まずこの風に辟易へきえきした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
風に揺られ雨に痛振いたぶられていた。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一抱ひとかかえ二抱ふたかかえもある大木の枝も幹もすさまじい音を立てて、一度に風から痛振いたぶられるので、その動揺が根に伝わって、彼らの踏んでいる地面が、地震の時のようにぐらぐらしたと云うのである。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何となく遠廻しに痛振いたぶられるような気もした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)