疵瑕しか)” の例文
つまりは普通の人間をただありのままの姿にえがくのであるから、道徳に関する方面の行為も疵瑕しか交出するということはまぬかれない。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
名作中こゝかしこに稍〻過ぎたりと見ゆる節あるをば、その作者の一時の出來心と看做みなして、ゆるすこともあるべけれど、その疵瑕しかは遂に疵瑕たることを免るべからず。
己れの疵瑕しかを感ずるに余りに鋭敏な作者は、丁度神経過敏家がの毛で突いたほどの負傷でも血を見ると直ぐ気絶するように、自分の作が意に満たないとてもってもいられなかったらしい。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)