異体いてい)” の例文
男は彼女かれせがれの重太郎であった。其風采そのふうさいは母と同じく異体いていに見えたが、極めて無邪気らしい、小児こどものような可愛い顔であった。髪をおどろに被ったかしらって
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
(ねえ、こっちにもう一つ異体いていなのは、注連しめでも張りそうな裸のお腹、……)
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時、捻向ねじむいて、くなくなと首を垂れると、った後褄うしろづまを、あの真黒まっくろくちばしで、ぐい、とくわえて上げた、と思え。……鳥のような、獣のような異体いていな黄色い脚を、ぬい、と端折はしょった、傍若無人で。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これが満足でても既にかくの如き異体いていの怪物である。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)