画舫がほう)” の例文
「ここに一人の少年と、一頭のムク犬がおります、拙者の従者なのですが、画舫がほうの片隅へ召しつれて差支えございますまいか」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ゆるやかに流れる大同江の水上に、画舫がほうがいくつも浮いている。牡丹台の岸にれんげが咲き始めた。
淡紫裳 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
酒楼の下の岸には画舫がほうもある、舫中の人などは胡麻ごま半粒ほどであるが、やはり様子が分明に見える。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
石油の湖水うみ、それに泛ぶ女王ザチの画舫がほう。なんて、馬鹿な夢を見続けていたもんだと、かえって折竹を恨めしげにみる始末。と、引き返すことになったその夜のことである。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)