画布カンヷス)” の例文
どうも普通の日本の女の顔は歌麿式や何かばかりで、西洋の画布カンヷスにはうつりわるくつて不可いけないが、あの女や野々宮さんはい。両方共になる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
雨戸はいつも大かたてきりで、この東南の一隅だけが、側の高窓の障子で、わずかに明るい。四尺に二尺ほどの画布カンヷスをのせた画架を、窓へ斜めに。後ろは浅い床の板壁に、ひげ題目の古びた掛け軸。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
はつと驚ろいた三四郎の足は、早速さそくの歩調にくるひが出来た。其時透明な空気の画布カンヷスなかくらゑがかれた女のかげ一歩ひとあし前へうごいた。三四郎もさそはれた様に前へ動いた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「掛け給へ。——あれだ」と云つて、き掛けた画布カンヷスの方を見た。長さは六尺もある。三四郎はたゞ
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)