生薑しやうが)” の例文
父は痰持であつたから、水飴みづあめだの生薑しやうが砂糖漬さたうづけなどを買つてしまつて置いた。水飴は隣の宝泉寺からよくもらつて来たやうである。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
灰汁あくやうのものを鍋の表面に浮かべてゐたし、また、すし屋の塵芥箱ごみばこから、集めて来たらしい、赤い生薑しやうがの色がどぎつく染まつた種々雑多の形のくづれたすしやら——すべて、異臭を放ち
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
寂しさに堪へてあらめと水かけてあか生薑しやうがの根をそろへけり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
僕は父がたんを煩つたときの子である。生薑しやうがの砂糖漬などをねぶつてゐたときの子である。さういふ時に生れた子である。ただ、どちらにしても馬胎ばたいでて驢胎ろたいに生じたぐらゐに過ぎぬとは僕もおもふ。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
生薑しやうがの根あかく染めたるものゆゑにかすかに噛めば悲し小生薑
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)