生活ぐらし)” の例文
大工生活ぐらしをしたものだと云ふが、それに關しては、わたしの記憶はまだまだ二三年後の年のものに、初めて薄ぼんやりと現はれて居る。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
早く妻子に死別れて獨身ひとり生活ぐらしをして居た自分の伯父の一人が、窮迫の餘り人と共に何か法網に觸るる事を仕出來したとかで、狐森一番戸きつねもりいちばんこに轉宅した。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
下宿屋生活ぐらしより一躍して仮にも一家のあるじとなればおのずから心くつろぎて何事も愉快ならざるはなし、勝手を働くは小山が世話せし雇婆やといばあさん、これとて当座の間に合せ
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
庄造は淋しい一人生活ぐらしの自分に良い友達が出来たような気がしてうれしかった。狸は庄造にれて庄造が帰れというまで何時いつまででも遊んで往くようになった。
狸と俳人 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
依然としてみじめな門附け生活ぐらし、それに甘んじてただわずかに、夜ごと夜ごとに窓下に立ち——範之丞の屋敷の窓下に立ち、こがれる心を察せよとばかり、河東節の水調子
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
せん女さんは一人生活ぐらしのつれづれを慰めるために俳句を作り出した。
廷章の家は廷章と少女の二人生活ぐらしであった。南はまた少女の顔を待っていた。間もなく少女の顔は次の室の入口に見えた。南は眼で笑ってみせた。少女は顔をそむけて一方の耳環の碧い玉を見せた。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一万石以上の大名生活ぐらし! それが私の生活でした。
正雪の遺書 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)