甑島こしきじま)” の例文
鹿児島県の甑島こしきじまへ行くと上甑かみこしきの方ではネンガラまたはネンガネ、このカネはベロベロの神をカネジョというのと同じでかぎのことらしい。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
植物の名は知らないが、浜木綿はまゆうとか浜防風とか呼ぶのだろう。砂丘にしがみつくようにして、群生している。そこらに腰をおろして、彼は海を見渡した。沖に大きな島かげが見えた。甑島こしきじまだ。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
薩州甑島こしきじまに生ずる萱草も多分このハマカンゾウにほかならないであろう。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
すなわち川の口からいったん甑島こしきじまの列島まで押し出した砂を、さらに北西の風となみとが打ち返して南隣の迷惑の種を積むのである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その場限りにさしえていながら、なお山中の大木の根を枕にしてというものがあり、また薩摩さつま甑島こしきじまなどでは、山の中に野宿しているのに
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たとえば九州もずっと南、薩摩さつま甑島こしきじまという離れ島などにも、この夜の月が三体に分れて出たという口碑こうひがある。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
こんどは日本の南の端の一例をあげてみると、鹿児島県の甑島こしきじまなどでは、その父が息子むすこの背に負われて木の小枝をおってしおりとし、わけを問われるとこういう歌を詠んだ。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それからのちの記録にはオコが多く、今も全国にわたって皆オコかオーコであり、北九州のほうにはボーコというところもあり、薩摩さつま甑島こしきじまなどははっきりとホコと呼んでいる。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
薩摩さつま甑島こしきじまでは「あめがた節供」といい、この日は必ずあめを食う習わしがある。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)