瓦破がば)” の例文
信一郎は、今にも夫人が、ノートの上に瓦破がばと泣き伏すことを予期していた。泣き伏しながら、非業ひごうに死んだ青年の許しをうことを想像した。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
瓦破がばった治部太夫は、身軽く躍りあがって槍をとった。槍ざやはケシ飛んで、蒼白いきらめきが穂先四寸に放たれた。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
夢中に、庭園を馳けぬけ、夢中に階段を馳け上り、夢中に廊下を走って、自分の寝室へ馳け込むと彼女は寝台へ身体を瓦破がばと投げ付けたまゝ、泣き伏した。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)