瑰麗かいれい)” の例文
この演奏はあまりにも瑰麗かいれいであり、ワインガルトナー風に隠健であるが、その代り渾然こんぜんたる完璧かんぺきの出来で、この精神的内容の熾烈しれつな曲を
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
群青そのものの長襦袢また瑰麗かいれいを極め、これも夕風に煽られるたび、チラとなまめかしく覗かるる。とんと花川戸の助六か大口屋暁雨さながらの扮装いでたちだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
驚くばかり瑰麗かいれいな花となって開いた純な人生の芸術的観照と再現は、少くとも表面上影を潜めて、ここには芸術的形式をかりた教化的意義が前面に押し出され
或は瑰麗かいれいなる花形の、或は荒唐無稽な様々の形の、毒々しく青に赤に黄に、闇の天空にきらめき渡る火焔は、そのまま谷底の水面をいろどり、その中にポッカリ浮上っている
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あれ程綺麗でそして雄勁ゆうけいな山の膚や輪廓を見たことがない。野辺山原から雪の晴れた朝、眉を圧して聳え立つ八ヶ岳の群巒ぐんらんを額越しに見上げて、其瑰麗かいれいな姿に満足しない者があるだろうか。
冬の山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
レコードから判断すると、無類の端正瑰麗かいれいな演奏をする人で、ゴドフスキーほど繊細ではなく、しっかりした技巧と、程よき感情を持った人である。
延長にして一里はたっぷりあったと思われる、道々の花の景色、その間に千代子の味った不思議な感情、作者はそれをただ、夢とのみ、或は瑰麗かいれいなる悪夢とのみ、形容するの外はありません。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
これは実に縦横無碍むげの名演奏で、十四瑰麗かいれいなる珠玉だ。わけても第七番目のえいハ短調(作品六四ノ二)の円舞曲などは、言語に絶する美しさで、一篇の劇詩に匹敵する雄弁さだ。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
第一番にクライスラーの音の美しさが、この大曲を本質的に瑰麗かいれいなものにした。
その雄渾瑰麗かいれいな演奏は、HMV並びにドイツ・グラモフォンのレコードに、『ハンガリアン舞曲』の第二番一枚を遺していることは、大方のファンたちの常識的に知っておられることであろう。
この両長老のリストに対する打込んだ愛情と、瑰麗かいれいな古風な表現とは同情されてよい(コロムビアJS一〇一—三)。ほかにビクターにレヴィツキーのがあり、コロムビアにギーゼキングのがある。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)