瑞穂みずほ)” の例文
旧字:瑞穗
豊葦原とよあしはら瑞穂みずほの国の瑞穂の波の中にいて、それでなかなか容易には米が食われないのである。どこかで何かが間違っている証拠である。
札幌まで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
これは「中臣祓なかとみのはらい」にも書いてあります事で、「豊葦原とよあしはら瑞穂みずほ国を安国やすくにと定め給ふ」という事が、天孫治国の一大信条でありました。
うらぶれ、痛めつけられた霊魂は、もう一度、瑞穂みずほの国、大八洲にすわりこむか、その黄色い皮膚を漂白するか、それとも、惰性の波に消えるか。結論はない。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
稲はもと熱帯野生の草である。これを瑞穂みずほの国に運び入れたのが、すでに大いなる意思の力であった。いわんや軒に届くほどの深い雪の中でも、なお引続いてその成熟を念じていたのである。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いたましくも、豊葦原とよあしはら瑞穂みずほくには、こういういなごみたいな害虫のむしばみにまかせて、荒れ放題ほうだいに国土を荒して来たといっても、そう過言ではない。すくなくも応仁の乱このかたの日本の乱れは。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして我が天孫は、彼らを懐柔し、彼らを撫育し、この豊葦原とよあしはら瑞穂みずほの国を安国やすくにと平らけくろしめすべく、降臨し給うたものと信ぜられている。
上総山武郡瑞穂みずほ村大字萱野字中瓢
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)