玉蘭ぎょくらん)” の例文
「お母さんと言うのは義理のお母さんだよ。つまりその人だの玉蘭ぎょくらんだのを抱えているいえ鴇婦ポオプウのことだね。」
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
玉蘭ぎょくらんいでやれ。いやいや、大丈夫たる者に、そんな小さい杯はいかん。大きいのでいでやれ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うん、玉蘭ぎょくらんと言う芸者でね、あれでも黄の生きていた時には中々幅を利かしていたもんだよ。………」
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
終るやいな玉蘭ぎょくらんは、お辞儀を一つして、飛鳥のように侍女の群れの中へ逃げ込みかけた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は同じ常談じょうだんを何人かの芸者と繰り返した。が、そのうちにいつの間にか、やはり愛想の好い顔をしたまま、身動きもしない玉蘭ぎょくらんの前へ褐色の一片を突きつけていた。
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)