獸物けだもの)” の例文
新字:獣物
お孃さんはそれつきり私に逢つてくれません、無理に後をつけたりすると、『馬鹿ツ、耻つ掻き、お前は何んといふ獸物けだものだらう』
あれこそは此世このよ名譽めいよといふ名譽めいよが、った一人ほとり王樣わうさまとなって、すわ帝座ていざぢゃ。おゝ、なんといふ獸物けだものぢゃわしは、かりにもかたわるういふとは!
障子一重の向うで、自分と言ひかはしたお袖が、父親とは名ばかりの獸物けだもののやうな男の餌になつて、勝手なことをされてゐるんだ
今度は燒餅やきもちでもなんでもなく、血にかわいた獸物けだもののやうな心持で、闇の夜を狙つて外へ出ては
出す筋合はありません。そのまゝ自分の床へ歸つたが、さア、寢付かれる沙汰ぢやありません。翌る日の朝、そつと起きて見ると、縁側から庭へ、得體の知れない、獸物けだものの毛が一パイ
「叶はねエなア、——兎も角、行つて見て下さいよ。ピカピカするやうな良い娘が、ぢやうのおりた藏の中で、虫のやうに殺されてゐるんだ。世の中にはもつたいないことをする獸物けだものもあつたものですね」