狸囃子たぬきばやし)” の例文
福村は気をつけていたけれども、その晩は狸の足音は聞えない代りに、遠からぬところで狸囃子たぬきばやしの音が起るのを聞きました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それがネ親分、昨夜ゆうべ狸囃子たぬきばやしがひどくて、どうしても寝付かれなくって弱ったくらいですから、暁方あけがたになってぐっすり寝込んだのでございましょう。
なにしろ舞台がこんな所で、ふくろの鳴き声や狸囃子たぬきばやし鳴物なりものじゃあ、しんみりしたお芝居にゃあなりませんけれど、漫才の掛合かけあいだと思えばいいでしょう。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
夜中に聞いて、狸囃子たぬきばやしと言うのも至極でございます。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
狸囃子たぬきばやしといふものは一體かうしたものなんださうで、大概の方は狸退治どころか、ヘトヘトになつて歸つて了ひます
狸囃子たぬきばやしと云うんだよ、昔から本所の名物さ。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それがネ親分、昨夜は狸囃子たぬきばやしがひどくて、どうしても寢付かれなくつて弱つた位ですから、曉方になつてぐつすり寢込んだので御座いませう。あんな大穴を開けるのを
本所ほんじよ狸囃子たぬきばやしと、とほ縁者えんじやく。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
本所を荒し廻つた大泥棒、——井筒屋の主人まで殺した曲者は、言ふまでもなくお紺とその手代の嘉七で、狸囃子たぬきばやしは、世人をまどはして、嘉七お紺の仕事を助ける、笛辰と三吉の仕事だつたのです。