物凄ものすさ)” の例文
赤い振袖を着た稀代きたいの美男が、復讐の快感にひたって、キラキラと眼を輝かす様は、言いようもなく物凄ものすさまじい観物みものです。
どこかを行く渓流は、とどろのこだまを呼んで物凄ものすさまじい。老木のつたかずらは千条の黒蛇こくだに見える。人の足音に驚いて氈鹿かもしか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
公園の一方にあらはれ候時こそ怪獣は物凄ものすさまじきその本色ほんしょくあらわし、雄大なる趣を備へてわれわれの眼には映じたれ。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其處には主人の金右衞門が細引で首を絞められて、物凄ものすさまじい形相で死んで居り、少し離れて手代の喜三郎、これは滅茶々々めちや/\に切られて死んで居るのです。
お吉は餘りの物凄ものすさまじい光景を思ひ出したものか、固唾かたづを呑んで絶句してしまひました。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
わけても管楽器の使用の複雑強化に特色があり、時に九台のハープをならべて、聴衆の全神経を把握し、情熱の大洪水を浴せた「力の芸術」の物凄ものすさまじさは後にも前にも比類のないものである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
見ると、頸筋くびすじから噴き出した恐ろしい血潮が、お市の半身と、その辺の雪を物凄ものすさまじく染めておりますが、見渡したところ、縁の下にも、庭の中にも、お化けはおろか、人間のかけらも見えません。