爼上そじょう)” の例文
岡田は手を弛めずに庖刀を五六度も前後に動かしたかと思う時、鋭くもない刃がとうとう蛇を爼上そじょうの肉の如くに両断した。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
すべて家康の四となり、家康と通じる者のみゃくを断って、その後、爼上そじょうに料理すべき大魚たいぎょながら——彼は網を南へ打ち、北へ打ち、おもむろに重点のものを
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幕府にとって、伊達家は籃中びくの魚であり、どうじたばたしてもそのかごからのがれることはできないし、へたに暴れだせばかえって爼上そじょうにのせられる、ここはがまんすべきときだ。
トスカニーニはその時諳譜指揮者の代表的人物として議論の爼上そじょうに上ったものである。
批評家のあいだでも、まま歴史小説論などが爼上そじょうにされるさいは、よくこれに類した話題が出る。だが作家にもよるし、題材の扱いにもよることである。一概にいえる問題ではない。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)