焼栗やきぐり)” の例文
旧字:燒栗
「ああ、竹童さんにも、おれが土産みやげを持ってきたぜ、きょうは焼栗やきぐりだ、ふたりで仲よく食べようじゃないか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時とすると、洒落しゃれた気持になって、冬は焼栗やきぐりや夏は一つかみの桜実などを、レーネットへもって来た。
ハンチングを横っちょにかむり、何か腹掛はらがけのようなものを胸に当てたアイスクリーム屋のイタリー人が、いつか焼栗やきぐり売りにかわっている。とある街角まちかどなどでばたばたと火をあおぎながら
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
四時やゝまわると、妻がちゃれ、鶴子が焼栗やきぐりを持て入って来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
雲霧の仁三ともあろうものが、焼栗やきぐりにおどろかされて飛び上がるなどは、近ごろの大出来だと、かれも共に、自分で自分を囃したいような苦笑にくすぐられました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)