火炎ほのほ)” の例文
銀之助は独り炉辺ろばたに残つて燃え上る『ぼや』の火炎ほのほながめ乍ら、ういふ切ない境遇のなかにも屈せず倒れずにる気で居るお志保の心の若々しさを感じた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
固より壊空ゑくうの理をたいして意欲の火炎ほのほを胸に揚げらるゝこともなく、涅槃ねはんの真をして執着の彩色いろに心を染まさるゝことも無ければ、堂塔を興し伽藍を立てんと望まれしにもあらざれど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
雲の峯の天にいかめしくて、磧礫こいし火炎ほのほを噴くかと見ゆる夏の日、よろづの草なども弱りしをるゝ折柄、此花の紫雲行きまどひ蜀錦碎け散れるが如くに咲き誇りたる、梅桜とはまた異るおもむきあり。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
色くれなゐの火炎ほのほかもげに悲痛かなしみの湧き上り
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
火炎ほのほ気息いきもあらだちて
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
火炎ほのほいへとなるものを
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
吾身はすべて火炎ほのほなり
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
吾身はすべて火炎ほのほなり
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
火炎ほのほいへとなるものを
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)