灌水かんすい)” の例文
揚子江と灌水かんすいの間の土地では、蛙の神を祭ってひどくあがめるので、ほこらの中にはたくさんの蛙がいて、大きいのは籠ほどあるものさえある。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
灌水かんすい式、説教、会堂や礼拝堂の祝祷しゅくとう、結婚式、などの収入について、司教はできるだけ多く富者から徴収し、それだけまた貧しい人々に与えた。
それどころか、機中の完全な保温装置と、僕の熱心な灌水かんすいとによつて、バラは刻一刻と生気を増して行つたのだ。
わが心の女 (新字旧仮名) / 神西清(著)
謡も鼓もあまり上手とも思われぬが、毎日午後の四時にかゆ二椀を食って、然る後高砂一番を謡い、日が暮るゝと灌水かんすいして床に入るのが、翁の常例だそうな。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それというのが、津留のやりかたは一般に行われている方法のほかに両手首と両足首、そして身躰前面の微妙な部分に対する灌水かんすいと、骨盤部周辺の入念なる摩擦という技法が加わるのである。
思い違い物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
天才的な華々はなばなしい逸話を一つも作らなかったが、その心に根ざした音楽愛は、怠りがちな灌水かんすいのうちにも、すくすくと伸びて、十九歳で法律学校を卒業し、司法省に奉職するようになってからも
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
このあいだリーズは灌水かんすいに使う水上みずあ機械きかいのそばに立っていた。
已に覚期かくごをした様であったが、年と共にたまあらたに元気づき、わずかに病床を離るゝと直ぐ例の灌水かんすいをはじめ、例の細字さいじの手紙、著書の巻首かんしゅに入る可き「千代かけて」の歌を十三枚
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
関翁は起きぬけに川に灌水かんすいかれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)