潮垂しおた)” の例文
番屋へ行ってみると、お半はすっかり潮垂しおたれて、運命を待つ姿でした。その側で口書きを取っているのは、得意満面の三輪の万七、お神楽かぐらの清吉。
丁度一週間ほどおとないも訪われもしないで或る夕方と尋ねると、いつでもきまって飛付く犬がいないので、どうした犬はとくと、潮垂しおたれ返った元気のない声で
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
斬られてなくなっている左の腕の、肘の辺りから長い袖が、潮垂しおたれたように垂れているのが、歩くにつれてヒラヒラ靡き、小旗でもそこへつけているようであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)