たた)” の例文
井戸のなかの水は、朝のとほりに、静かに円くたたへられて居る。それに彼の顔がうつる。柿の病葉わくらばが一枚、ひらひらと舞ひ落ちて、ぼつりとそこに浮ぶ。
すると、長方形の板の下の小さい眼は、芥子粒けしつぶより小さい二粒の涙をたたえているのが見える。
不周山 (新字新仮名) / 魯迅(著)
かの逆巻さかまく波に分け入りし宮が、息絶えて浮び出でたりし其処そこの景色に、似たりともはなはだ似たる岸の布置たたずまひしげり状況ありさま乃至ないしたたふる水のあやも、透徹すきとほる底の岩面いはづらも、広さの程も、位置も、おもむき
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
妻は思設けぬ面色おももちの中に喜をたたへて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)