滋幹しげもと)” の例文
妻を奪われた国経が、恋慕と絶望にさいなまれつゝその後なお三年半の歳月を生きた間のことは、後段滋幹しげもとのくだりにいてやゝ詳細に触れる折があろう。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さきに荷風の「濹東綺譚ぼくとうきたん」あり、秋声の「縮図」あり、近くは潤一郎の「少将滋幹しげもとの母」あり、しかしこの例は、何も計算器選択説をくつがへすものではない。
後の少将滋幹しげもとのことなのであるが、けだし此の児だけは、母なる人が本院の館へ連れ去られた後も、乳人めのとなどに伴われて自由に出入りすることを許されていたか
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
平中へいじゅう時平しへい、及びその子孫たちの後日譚ごじつたんはあらまし以上の如くであるが、あの可哀そうな老大納言と、彼が夫人在原氏の腹にもうけた子の滋幹しげもとは、その後どうなったことであろうか。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)