“湯釜”の読み方と例文
読み方割合
ゆがま100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、上り湯を思い切りよく浴びる。藤三は湯釜ゆがまの上に胡坐あぐらいては居ない。彼は流し場に出て来て、せかせかと忙がしそうに働く。
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
切炉きりろで手がすべって湯釜ゆがまを転覆させたとき、ちょうどあやが火箸を取ろうとしていて、その右手の先へ熱湯がもろにかぶってしまったのだ。叫び声をあげたのは脇にいた母のたえであった。
十八条乙 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
番頭の藤三は湯釜ゆがまの上に胡坐あぐらき、裸の胸に両腕を組んで漠然とした眼を流し場に向けて居たが、ぎょっとした様に表情を硬くし、眼をしばたたくと片唾かたずを呑んだ。
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)