“清癯(せいく)” の例文
竹越君曰く、透谷と月下に語れば清癯(せいく)飄渺(へうべう)として神仙の如し、亦俗界の人に非るを覚ふ。蘇峰氏予に謂(い)つて曰く、透谷は銀匙なり君に至つては乃(すなは)ち鉄瓶のみ。
北村透谷君 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
一日昧爽(まいそう)、櫛沐(しつもく)ニ方(あた)リ、打門ノ声甚ダ急ナルヲ聞キ、楼欄ニ憑(よ)ツテ之(これ)ヲ観ルニ、客アリ。清癯(せいく)鶴ノ如シ。戸ニ当リテ立ツ。スミヤカニ倒屣(とうし)シテ之ヲ迎フ。既ニシテ門ニ入リ名刺ヲ出ダス。
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)
段の上にすッくと立って、名家の彫像のごとく、目まじろきもしないで、一場(じょう)の光景を見詰めていた黒き衣(きぬ)、白き面(おもて)、清癯(せいく)鶴に似たる判事は、衝(つ)と下りて、ずッと寄って、お米の枕頭(まくらもと)に座を占めた。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)