清爽せいそう)” の例文
大きな近眼鏡の中からは知恵のありそうな黒い目が光っていた。引きしまった清爽せいそうな背広服もすべての先生たちのよりも立派に見えた。
蓄音機 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
蜻蛉が蒼空のもとにつういつういと飛んで行くあの運動の自由さが『蜻蛉』の踊りのあの快活な清爽せいそうさを産み出したのではなかろうか。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
気宇凜然りんぜんとして山河を凌銷りょうしょうし、万象瑩然えいぜんとして清爽せいそう際涯さいがいを知らずと書物には書いてあります。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その左は、見れば心が清爽せいそうになるような銀色の白髪を、ほつれ毛もなく結いあげた相田清祐であった。右には大野順平が、幾らか持てあまし気味の堂々とした体躯たいくをどしんと据えていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)