淅々せきせき)” の例文
光陰矢のごとく空しく過ぎ、秋風淅々せきせきとして落葉の時節となり、半死の老翁となッた今日、はるかに昔日を思いいだせば、恥ずべきこと、悲しむべきこと、ほとんど数うるにいとまがない。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
松吟庵しょうぎんあんかんにして俳士はいしひげひねるところ、五大堂はびて禅僧ぜんそうしりをすゆるによし。いわんやまたこの時金風淅々せきせきとして天に亮々りょうりょうたる琴声きんせいを聞き、細雨霏々ひひとしてたもと滴々てきてきたる翠露すいろのかかるをや。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)