浮塵子うんか)” の例文
越前国池田地方は山間の僻郷へききょうであるが、先年、日清戦役後、浮塵子うんかが発生して、ほとんど収穫皆無のことがあった。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それから浮塵子うんか根切虫ねきりむしだが、そんねえな無益物やくざものの昆虫学とやらの名前も覚えなくつちやなりますめえ。
自動車は、また、八寸置きに布片の目じるしをくゝりつけた田植縄の代りに木製の新案特許のわくを持って来た。釣瓶つるべはポンプになった。浮塵子うんかがわくと白熱燈が使われた。
浮動する地価 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
ある年のこと、浮塵子うんかが多く出て、米がみんな食われてしまうといって、農民たちが騒ぎ出し、石油を田にまいて、その絶滅を企てたけれども、文次郎だけは石油をまかなかったそうです。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かやで添木を作ってやった。枯れた葉を一枚一枚むしりとってやった。枝を剪んでやった。浮塵子うんかに似た緑色の小さい虫が、どの薔薇にも、うようよついていたのを、一匹残さず除去してやった。
善蔵を思う (新字新仮名) / 太宰治(著)
浮塵子うんかややもすると話題を自分の畑へもって行ってしまう。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
横すべる浮塵子うんかを前に死を前に
今日:02 今日 (新字旧仮名) / 西東三鬼(著)
穿いた浮塵子うんかだといって唯々厄介者扱いにします
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)