浪漫的ロマンチツク)” の例文
その時分は僕等もまた少年時代の心もちがぬけないで、たいさう純樸な若々しい情緒をもつて居たので、お互に浪漫的ロマンチツクな小曲をかいてゐた。
室生犀星の印象 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
図書館で浪漫的ロマンチツクアイロニーと云ふ句を調べて見たら、独乙ドイツのシユレーゲルが唱へ出した言葉で、何でも天才と云ふものは、目的も努力もなく
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
アメリカにオテイス・スキンナアといふ聞えた俳優やくしやが居る。浪漫的ロマンチツクな芸風で、倫敦ロンドン巴里パリー伯林ベルリンなどで興行した時も、相応かなりな評判を取つたものだ。
伊之助は二十五六の月の光の下で見るせゐか、この上もなく夢幻的で、この上もなく浪漫的ロマンチツクな男でした。
私は、さういふ家のなかに、數年前からたつた一人きりで、不幸な眼疾を養つてゐるといはれる、美しい未亡人のことを、いくぶん浪漫的ロマンチツクに、想像せずにはゐられなかつた。
(旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
幼馴染をさななじみ浪漫的ロマンチツク——優しい虫の音は続いて聞えた——
氷屋の旗 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「なんだも無いものだ。もう少し普通の人間らしくあるくがいゝ。丸で浪漫的ロマンチツクアイロニーだ」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「それ程浪漫的ロマンチツクな人間ぢやない。僕は君よりも遥かに散文的に出来できてゐる」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)