浜田はまだ)” の例文
旧字:濱田
しばらくいくさのなかった伊勢方面は、この間に、秀吉の別動隊が、峰ノ城をおとし、神戸かんべ国府こう浜田はまだの諸城をも乗っ取り、次いで、七日市なのかいちノ城も攻めつぶしていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同じ御隠居の庶子しょしにあたる浜田はまだ島原しまばら喜連川きつれがわの三侯も、武田らのために朝廷と幕府とへ嘆願書を差し出し、因州、備前びぜんの二侯も、浪士らの寛典に処せらるることを奏請した。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「そんな事をする考はなかったんですけれども、浜田はまだが借せ借せと云うもんですから……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なお/\気に懸る挨拶に貞之進はもどかしくなって、どこと云えば橋場のお屋敷と云う、客かと云えば浜田はまだの御前と云う、さては縁結びに浜田と書いたはそれであったかと胸は躍って
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
「おい、こゝだ」と声をかける浜田はまだはま六の顔は、屈托のない笑いに崩れていた。
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)