“流槽”の読み方と例文
読み方割合
ながし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
台所の流槽ながしの傍に女がむこうななめに立って、高くあげた右の手に黒い長い物をだらりとさげていた。登はなんだろうと思って注意した。
雑木林の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこは行詰に釜のかかったへっついがあり流槽ながしがあって、右側に板縁つきのへやがあったが、その縁側は肆の者が朝夕腰をかけて食事をする処であった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
母親も睡っているのか何の音もしなければ、老婆が平生いつもの癖の痰が咽喉にこびりつくような咳も聞えない。ただ庖厨の流槽ながしの方で鼠であろうことことと云う音が聞えるばかりであった。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)