流々りゅうりゅう)” の例文
細工さいく流々りゅうりゅう仕上しあげ御覧ごらん」というが、物件ぶっけんならば、できた仕事で用にたつが、人間はそうはいかぬ。細工さいくする間の心持ちが大切たいせつである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
天然てんねん細工さいく流々りゅうりゅう、まことに巧妙こうみょうというべきではないか。こうなると他家結婚ができ、したがって強力な種子が生じ、子孫繁殖しそんはんしょくには最も有利である。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「細工は流々りゅうりゅうの積りです。恐らくこゝ数日中に渋谷が手を引いて私が直接先方へ乗り込むことになりましょう」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
老人は細工は流々りゅうりゅうといったような自信のある顔をして、またぽつぽつ仕事を初め出します。
「細工は流々りゅうりゅう仕上げをごろうじろ、とんだ『大工調べ』だが、大丈夫ですよ、これでもし一、浅草の寄席からおあしのとどくのが遅れてもいまいってる一席ですぐお宝が頂けますから」
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
そうして広東の三水県へ来て、その狂言中に幽霊が出たといい、またその幽霊が墓のありかを教えたといい、細工さいく流々りゅうりゅう、この狂言は大当りに当って、予想以上の好結果を得たというわけだ。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「兄貴、細工は流々りゅうりゅう、この通りだ」