津田青楓つだせいふう)” の例文
もう一昨年のことであるが、その頃まだ伊東いとうで病後の静養をしていた私のところへ、津田青楓つだせいふうさんから、或る日小さい小包が届いたことがあった。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
相馬御風さうまぎよふう西郡久吾にしごほりきうご津田青楓つだせいふう等の諸先生がお書きになつた良寛さんの本を、君達がもう少し大きくなつたら、読むがよろしい。それらは大層すぐれた書物だ。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
そこで津田青楓つだせいふうさんに御相談申し上げるが、技巧はかくも、気品きひんの点へくと、先生の画の中には、あなたが頭を御下おさげになつても、恥しくないものがありやしませんか。
俳画展覧会を観て (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
終吉は図案家で、大正三年に津田青楓つだせいふうさんの門人になった。大正五年に二十八歳である。終吉には二人ににんの弟がある。前年に明治薬学校の業を終えた忠三さんが二十一歳、末男さんが十五歳である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
津田青楓つだせいふう。 「黒きマント」は脚から足のぐあいが少し変である。
昭和二年の二科会と美術院 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この客間の西側(玄関寄り)には、更紗さらさ唐紙からかみが二枚あつて、その一枚の上に古色こしよくを帯びた壁懸けが一つ下つてゐる。麻の地に黄色に百合ゆりのやうな花をぬひとつたのは、津田青楓つだせいふう氏か何かの図案らしい。
漱石山房の秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この客間の西側(玄関寄り)には、更紗さらさ唐紙からかみが二枚あつて、その一枚の上に古色こしよくを帯びた壁懸けが一つ下つてゐる。麻の地に黄色に百合ゆりのやうな花をぬひとつたのは、津田青楓つだせいふう氏か何かの図案らしい。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)