洒々しゃあしゃあ)” の例文
「どうも今夜あたり、闇討があるって話ですね。やっぱり主人の死に際は、見ておきたいからね」と洒々しゃあしゃあと答えたまま平気な顔をしていたという。
なにしろ、軽口師でございと大嘘をいって、あげくの果に追いだされた彼のこと。しかし、カムポスはご心配なくと、自信あるのか洒々しゃあしゃあたるものだ。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「ほんとに何んだいこの女は! あぶなく酷い目に逢いかかったのに、もう洒々しゃあしゃあしてこの通りだ。人の目方まではかりゃあがる。——十七貫はございましょうよ」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もう一般婦人がソロ/\自覚を生じて、万事イケ洒々しゃあしゃあの時代に多少入っていたのである。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「だめだろうね……相当、こっぴどくやったつもりだが、洒々しゃあしゃあとしていた……それゃ、そうだろう。大池の弟とツルンでロッジに泊りこんだって、とがめられることはないはずだから」
肌色の月 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「さようでございますか。」と姉が挨拶しようとすると、お国はジロジロその様子を眺めて、少し横の方へ出て、洒々しゃあしゃあした風で挨拶した。そうして菓子を出したり、茶をいれたりした。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
なにやっこさん洒々しゃあしゃあたるもんだ。所がね、側に居たお上が少し意地悪く出て来たんだ。村上さんも嫉妬やくほど御不自由でもないでしょうへへへと笑いやがるんだ。そしておたかと見合っては皮肉な笑を
球突場の一隅 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
洒々しゃあしゃあと、自分の結婚のことについて、馴染の浅い大人をつかまえて、底を割った話をするかと思うと、下の食堂へ行ったときは、その話はケロリと忘れたように、自分一人の食事を、わるびれもせず
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それでも、ヤンは嘲笑せせらわらって、なアにお父さんを説き伏せて晩にきますよと、洒々しゃあしゃあと自信ありげに帰っていったのである。そうして、研究所に一つの危機がくることになった。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「フフフ、あれは潤色的な出来事さ。」熊城は洒々しゃあしゃあとして鐘声排除説を主張した。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)