洋中わだなか)” の例文
土用どようのうちの霖雨つゆのあめを、微恙びようの蚊帳のなかから眺め、泥濁どろにごつた渤海あたりを、帆船ジヤンクすなどつてゐる、曾て見た支那海しなのうみあたりの雨の洋中わだなかをおもひうかべる。
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
何かのはしで讀んだ事が妙に氣がかりにもなるが、無論それはとりとめもない考への主流でなく、眼は洋中わだなかのごとき庭の青さと、銹銀色さびぎんいろの重い空の、霧つぽい濕つたおもてを見てゐたが
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)