沙羅双樹さらそうじゅ)” の例文
旧字:沙羅雙樹
五十路いそじを越えて、まだこんなに水々しいところが何よりの証拠で、都にあって祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声を聞くよりは、ここに閑居して沙羅双樹さらそうじゅの花の色の衰えざるを見ていたい。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やがて六波羅の入道平相国にゅうどうへいしょうこくとなり彼の咲き誇らせた地上わずか十余年の間こそ——“古典平家物語”が、沙羅双樹さらそうじゅの花のいろ、諸行無常の響きあり、というところのものです。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
但先月の嵐がるいをなしたのか、庭園の百日紅、桜、梅、沙羅双樹さらそうじゅ、桃、李、白樺、欅、厚朴ほう、木蓮の類の落葉樹は、大抵葉を振うて裸になり、柿やトキワカエデの木の下には
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それでも彼等の夢に見える、大日如来の姿のうちには、印度ぶつ面影おもかげよりも、大日孁貴がうかがわれはしないでしょうか? わたし親鸞しんらん日蓮にちれんと一しょに、沙羅双樹さらそうじゅの花の陰も歩いています。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声、諸行無常の響あり、沙羅双樹さらそうじゅの花の色、盛者必衰しょうじゃひっすいことわりをあらはす……」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
沙羅双樹さらそうじゅの花ならぬ、枯れ木を拾っては、手に抱えた。
沙羅双樹さらそうじゅの花のいろ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沙羅双樹さらそうじゅ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)